「ブラック企業」報道にみる違和感【ブラックでもホワイトでもなく勤めたい企業とは】

「ブラック企業」報道にみる違和感【ブラックでもホワイトでもなく勤めたい企業とは】

最近メディアを賑わすキーワードに 「ブラック企業」や「ブラック体質」がある。その報道のほとんどは、過酷な労働環境やブラック体質の実例を紹介して、「それは酷い!」「働き方改革だ!」と言う論調がほとんどだ。

だが僕はそうした単一的な「ブラック企業」報道に違和感を感じる。確かに、中には本当に酷い環境の職場もあるが、それ以上に世の中の「ブラック」撃退の風潮が加熱しすぎていていないだろうか?

ましてや単純に労働時間を規制したり、休日を強制的に取らせることのみに注力した、政府主導の「働き方改革」に、解決策を委ねるメディア報道には全面的には賛成できない。

いわゆる「ブラック」企業とは?

ブラック企業と世間的に言われている企業の特徴は以下の点だ。

  • 異常な長時間労働(月に80時間以上の残業)
  • 給料が最低賃金以下
  • 有給が取れない、年間休日が少なすぎる(年間100日以下)
  • 社員がすぐに辞める、人の入れ替わりが激しい
  • パワハラ・セクハラの横行

これらの特徴は企業を経営している身からすれば、完全にルール違反だ。従業員を人だと思っていない限りは、このレベルの酷いことはできないと思う。

もしご自身の勤めている企業がこのレベルの労働環境だったら、すぐに転職をすることを勧める

そして、こうしたブラック企業体質は中小企業に多いと言われている。

僕も地方で中小企業を経営していて、経営者の知り合いも多いが、このレベルのコンプライアンス違反をしている企業は決して多くないはずだ。大体の経営者は、なんとか従業員を食べさせていきたいと考えているし、可能な限りは職場環境を良くしたいと思っている。

中にはこうしたブラック寄りのグレーな企業体質は中小企業に見受けられるかもしれない。その場合も、企業や経営者の価値観が古いままの場合がほとんどで、故意に従業員を搾取してやろうと言う悪気があるわけではないと思う。

日本経済が成長期の「モウレツ社員」を経験してきた経営者や、古参の従業員が多い企業ほど、そうした古い働き方の価値観を持っている。ゆえに今の時代の要求に追いついていないケースが多い。これが中小企業にグレーな働き方が残る一番の要因だろう。

また中小企業の場合、社長も現場や第一線で働くプレーヤーであることがある。大企業とは違い、人員数に限りがあるので社長業に専念せず、自らも営業にまわったり、生産現場に入っている企業も多いのだ。

そうした中小企業の場合は、社員の労務環境を専門にみる部署が無く、「カイゼン」は社長が気付いた時、と言うのが普通だろう。社長が忙しすぎて、社員の働く環境や働き方に注視できていないために、グレーな働き方が継続されてしまっているのだ。

中小企業にはこうした現状があることは認めるにせよ、それでも最近の「ブラック排除」の雰囲気には違和感を覚える。

何かのプロになろうとすれば、自分を追い込む必要がある

違和感の正体は何か。考えてみるとどうも、極端なブラック企業の例を挙げて、全体の話としていることだろう。先にも挙げたが、いわゆるブラック企業の特徴として挙げたルール違反をしている企業は、全体としてはわずかだと言うことだ。

程度の差はあれ、多くの企業はコンプライアンスを守って経営されている。それなのに、一部の極端な企業例を用いて「とにかく短い労働時間」や「有給を消化させろ」と言った結論に話がいく。しっかりとルールを守って経営している企業からすれば違和感を覚えるのだ。

このブラック体質撃退の風潮が進んで、ホワイト企業以外は認めませんと言う社会になったらどうだろう。「1秒の残業もしません!」や「勤務時間以外はプライベートなので、会社の飲み会にはいきません」と言った社員ばかりにならないだろうか。そうした価値観の人もいるだろうから、間違っているとは言わないが、大多数がこうした社会人になったら日本経済はマズいのではないかと思う。

「決められた8時間は契約なので働きますが、それ以外は一切働きません。」といった人の、仕事に対する考え方は少し寂しい気がするのだ。

スポーツや料理人など「プロ」を目指す人を考えてみてほしい。上のレベルに行こうとすればするほど、自ら寝る間を惜しんで自分を追い込んでいるはずだ。

料理人の見習いなんて本当に過酷で、睡眠時間が取れないなか、親方に指示されたことや仕込みなどの仕事が山ほどある。完全にブラックと言えばブラックだが、料理人として一人前になろうとしている人から、「ブラックだから改善してください」と言った言葉が出てくるだろうか。

またスポーツの世界でプロになろうとしている人から、「こんなに練習するなんてブラックだから」と言う理由で、練習時間を減らす人がいるだろうか。その間に他のライバルがどんどん先に行ってしまうだろう。

もしくは、ベンチャー企業で一気に成長しようとしている人が、「これ以上働くとブラックな働き方になってしまうから今日はもう帰ろう」と仕事をやめるだろうか。

つまり、この道で行こうと熱中している人にとって、働き方や取り組み方がブラックかどうかなんて気にならないと言うことだ。

恐らく1秒も残業をしたくない人にとっての仕事は、そこまで熱を込めることができないものなのだろう。本人に問題があるのか、企業や仕事そのものに問題があるのかはわからないが。

今の加熱する「ブラック企業」の報道や風潮が、企業のルール違反を取り締まる方向に作用すれば良いと思う。

だが社会全体が、「ブラック排除」や「ライフワークバランス」を掲げて行き過ぎた結果、一個人が時間を忘れて働くことや、平日か休みかわからないほど熱中することが無くなってしまう、そうしたマインドを持たなくなってしまう、ことはマイナスだと思うのだ。

ブラックでもホワイトでもなく、本当に勤めたい企業とは

こうした中で、これから働く人や転職を考えている人が、本当に勤めたい企業とはどんな企業だろうか。

単純に勤務時間が短く休日が多い、いわゆるホワイト企業ならばどこでも良いのだろうか?

やはり僕は、労働環境も大事だが、仕事の内容に熱意を持てるかどうかが一番重要だと思う。8時間で絶対帰れる職場でも、仕事の内容に何一つ共感できなければ、恐らく苦痛だと思うのだ。

なので働く先を探す際はまず、企業や仕事内容をよく調べることが重要だろう。できれば実際に働いている人に会って話を聞くことをオススメする。少し調べたところで入社して、実際の仕事内容にギャップがあったと言うことは往々としてある。

もし「自分が何に熱意を持てるのか分からないので、どんな仕事に就けば良いのか分からない」と行った人がいれば、経営者のビジョンに共感できる企業に行くことをオススメする。

企業や社員は経営者を反映する。経営者の人格やビジョンに共感できるのであれば、その企業で働く社員は、同じように共感して熱意を持って働いていることが多い。そうした熱にあおられて、一見何も思わなかった仕事内容に、いつの間にか熱中して取り組めることがあるからだ。それは企業に作られている「場」のなせる技だろう。

仕事そのものというより、そこで働く人たちと働くこと、何かを一緒に達成することに熱中できる、というパターンだ。

もし今勤めている企業がブラック企業だったら、すぐに転職することだ。人手不足のこの時代、ルール違反をしている企業に時間を取られているのはもったいない。

そしてできたら労働環境だけで転職先を探さないで欲しい。よく企業や仕事内容を見極めて、熱意を持って働けるところに転職できると良いと思う。

 

 

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